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日本ピクトさん学会
100均フリーダム 装テン(装飾テント) ペッ景 PET bottle scape 鉄管スロープ 【ピクトさんグッズ取扱店】 ・広島市現代美術館 ・ふくやま美術館 ・岡山県立美術館 ・喜久屋書店 イオンモール倉敷店 ・スタンダードブックストア茶屋町 作成者:内海慶一 Author:UTSUMI Keiichi picto@mx35.tiki.ne.jp ライフログ
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本ブログは新ブログ「ぬかよろこび通信L(エル)」
に移行します。 http://pictist.sblo.jp インポートができなかったので過去記事は 本ブログ「ぬかよろこび通信」をご覧ください。 (2017年の記事のうち、いくつかは重複掲載しています) ■
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by pictist
| 2017-11-29 20:05
| あれこれ
![]() 前回から続きます。 イベント「都市鑑賞論」では、明治20年に人類学者の坪井正五郎が刊行した『工商技芸看板考』も紹介した。これは酒屋、煙草屋、豆腐屋、蕎麦屋、湯屋など、様々な店舗看板の意匠を研究した書である。江戸時代の文献を引用しながら、過去と現在(江戸時代から明治時代にかけて)の日本の看板の造形を考察している。 坪井は序文にこう書いている。 『余が此書を著す主意は、是等の看板を網羅するに非ず、工商技芸の看板に深意妙味の有る事と、進化変遷有る旨を、聊か世人に示すに在り』 坪井は当時24歳。看板の形態の「進化変遷」を示したいと言えたのは、文献研究があってこそだろう。しかしそれだけではなく、明治20年という時代のタイミングも、本書の執筆動機に関わっているのではないかと私は考える。日本の西欧化が急速に進んでいた時代。徐々に消えていく江戸の風景を、当時の人々(特に東京府民)は目の当たりにしていた。 変わっていく街並みの中、店舗看板も変化に晒されていたはずだ。明治初期の東京に暮らした坪井は、こうした知覚しやすい「時間的な移動」によってソトの眼を獲得しただろう。 坪井は風景・風俗の変化をはっきりと意識していた。そう言えるのは、同時期に坪井が日本で初めての「風俗測定」をおこなっているからだ。同じ明治20年に発表した論文「風俗漸化を計る簡単法」がそれである。坪井は上野公園を歩く人々の服装がどのくらい西洋風になっているかを調査した。 坪井はこう述べている。 『維新以来、西洋の文物が我邦に入り込むに従って、頭髪、衣服、及び履物も西洋風に移ってきましたが、頭から足まで一時に変ずるのではなく、頭だけ西洋風にして他は日本風にして置く者もあり、頭と足とを西洋風にして着物は従前の通りにして置く者も有りまして、次第次第に此風を捨てて彼風を取るのですから、是等の統計を作たならば風俗漸化の速力方向を知るに足りましょう』 空間的な移動が「ソトの眼」を得るきっかけになるのと同じように、時間的な移動も「ソトの眼」を得るきっかけになりえると私は思っている。それは現代においても同じだ。明治維新後ほどの急激な変化はなくても、都市は常に表情を変え続けている。そして私たちはある日、ふと気づくのだ。都市から減りつつある「それ」が、徐々に存在感を持ち始めていることに。その存在感は魅力かもしれないし、違和感かもしれない。 私たちはよく、古いモノや古びた風景を愛でる感情を「ノスタルジー」という言葉で表現する。また、レトロという言葉もよく使う。どちらも「懐古」という意味でおおむね間違いないだろう。 しかし私たちがノスタルジーだと思い込んでいる感情や、レトロ趣味だと思い込んでいる好奇心の中には、そのどちらでもない別の感情が宿っている可能性がある。それが「時間的な移動によって獲得したソトの眼」がもたらす感覚だ。 都市鑑賞と「ソトの眼」についてのメモ、次回は「劇化」について考えてみようと思います。 ■
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by pictist
| 2017-09-04 22:26
| あれこれ
![]() 2017年3月4日に開催したトークイベント「都市鑑賞論」(出演:大山顕)で、私は初めに喜田川守貞の『守貞謾稿』に触れ、守貞が大阪から江戸へ移動したことによって「ソトの眼」を獲得しただろうと述べた。 「ソトの眼」とは、例えば旅人が旅先で街並みを見る目線のことだ。地元の人間にとっては当たり前すぎて気にとめないようなものでも、旅人の目には新鮮に映る。私は、守貞が江戸という異郷を見たことが重要なのではなく、江戸という異郷を見たことで、生まれ育った大阪を振り返って「ソトの眼」で見たに違いない、そのことが重要なのだと述べた。 続いて国木田独歩の「武蔵野」を挙げ、(当時の人にとっては)なんのへんてつもない郊外の風景に独歩が魅了されていたことを紹介した。これは柄谷行人の『日本近代文学の起源』がヒントになっている。柄谷は独歩が見た武蔵野を、日本人が初めて見出した「風景」ー歴史的・文学的な意味(概念)に覆われていない風景ーとしている。 桜の名所を夏に訪れた独歩を、地元の住人は不思議がる。 『今より三年前の夏のことであった。自分はある友と市中の寓居を出でて三崎町の停車場から境まで乗り、そこで下りて北へ真直に四五丁ゆくと桜橋という小さな橋がある、それを渡ると一軒の掛茶屋がある、この茶屋の婆さんが自分に向かって、「今時分、何にしに来ただア」と問うたことがあった。 その場所に住む「婆さん」は「ソトの眼」を持たない。前掲の文章は、そのことをわざわざ強調しているように読める。独歩は、自分が新しい眼でこの風景を見ていることを自覚していた。 「武蔵野」が発表されたのは明治31年。その3年前は明治28年。独歩らが乗車したのは、明治22年に開業した甲武鉄道(中央線の前身)だろう。文中の「境」とは現在の武蔵境駅。独歩らが歩いたのは現在も桜の名所として有名な小金井堤である。 夏に散歩をするためだけに気軽に郊外まで足を運ぶことができたのは、交通の発達によるところが大きいだろう。それだけが理由ではないにしても、若き文学者が「ソトの眼」を獲得するに到った要因の一つに鉄道による「移動のしやすさ」があり、しかもほんの6年前までそれが叶わなかったという時代のタイミングを考えてみるのも面白い。 イベントで話した内容を踏まえながら、「ソトの眼」についての考察を今後も記していこうと思います。次回は「時間的移動」について。 (続く) ■
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by pictist
| 2017-08-31 14:37
「鉄管スロープ」のサイトをつくりました。
https://pipeslope.jimdo.com サイト内に書いた解説をこちらにも転載しておきます。 ![]() 2016年6月、岡山市で『街角図鑑』出版記念スライドトークLIVEを開催した。イベント前に東京からお招きした出演者のみなさんと街歩きをした際、それは「発見」された。 「こういうの、岡山にはよくあるんですか?」 と東京メンバーが指差したのは、鉄パイプでつくられた段差スロープ。駐車場や車庫など、車が出入りする場所に設置されているものだ。岡山在住の私には見慣れたものだった。 「ありますけど…え? 東京にはないんですか!?」 驚いた。どこにでもあると思っていたものが、そうではないと知ったときの愉快な衝撃。 実家のある広島県福山市(岡山県との県境に接している)でもよく目にしていたはずだ。では、この鉄管スロープ(と呼ぶことにした)はどこからどこまでのエリアに存在しているのだろうか。 さっそくツイッターで目撃情報を募った。グーグルストリートビューもチェックした。その結果、どうやら鉄管スロープは岡山県内と広島県内にのみ存在しているらしいことが分かった。一部、三重県桑名市や愛知県名古屋市などからも目撃情報が寄せられたが、ほんの数例であり、例外的な事例らしい。興味深いことに、岡山・広島に隣接している県(島根、鳥取、山口、兵庫)でもほぼ目撃例がなく(各県の在住者から「見たことがない」という証言が寄せられている)、県境を越えたとたんになくなるようだった。 鉄管スロープがいつごろ誕生したのかは分からないが、少なくとも50年以上は経っているだろう。1972年生まれの私自身、幼いころから目にしていたような気がするし、古びた鉄管の劣化具合からも、20〜30年どころではないだろうと推測できる。 鉄管スロープはどこの街で生まれたのだろうか。岡山か広島か。時間が経ちすぎていて、特定することは難しそうだ。 鉄管スロープは、それぞれの町の鉄工所がつくっているのだろう。取材をしてみたいが、ツテもなく、今のところ調査ができていない。今もときどき新しい鉄管スロープを目にすることがあるので、どこかに製作経験を持つ現役の職人さんがいるはずだ。話を聞けば、少しは鉄管スロープの歴史に触れることができるかもしれない。 鉄管スロープは現場の状況に合わせてつくられている。すべて一点モノで、一基ごとに個性がある。だから見ていて飽きない。たまにハッとするような、創意に富んだ作品もある。 岡山県か広島県を訪れた方は、ぜひ足元を気にしながら街を歩いてみてほしい。 ■
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by pictist
| 2017-08-21 21:41
| あれこれ
![]() 2017年3月に大山顕さんと「都市鑑賞論」というトークイベントをやりました。このイベントタイトルは最初から決まっていたわけではなく、イベント内容を打ち合わせしているとき、大山さんから「自分たちがやっていることを総括するには、どういう言い方をすればいいのかなあ」という投げかけがあったのです。そこで提案したのが「都市鑑賞」という言葉でした。 この言葉を出したとき、自分の中でスッと何かが楽になったような感覚がありました。考えてみると、自分たちがやっていることを一言で表す言葉が今までなかったなと。気づかないうちに、漠然とした「伝わらないストレス」を感じていたんだなと思ったのです。 街を歩いて、見て、ときには写真を撮る。そういった行為を指す言葉。人によって興味の対象は様々で、細分化されているけど、それらをひっくるめて表現する言葉がなかった。「路上観察」という範疇からははみ出しているし、「まちあるき」だと、ほとんど何も言ってない。 私たちは「都市鑑賞者」だと思うのです。 自分とは違うジャンルを追い求めているけど、でも同じ感覚を共有しているような、好奇心のベクトルが近いような、そんな人たちが大勢いる。「路上観察」「まちあるき」では今ひとつ捉えきれなかった「ある共通するタイプの人たち」が、「都市鑑賞」なら線でつながる。心理的な距離も近くなる。そんな、ちょっとしたうれしさを感じます。 ここで言う「都市」は、人の営みに関わる場所全般として、広義の意味で捉えていきたいと考えています。たとえば人里離れた山奥にあるダムも橋も、都市鑑賞に含んでいきたい。都市のバックヤードも都市の一部として考えたい。 というわけでここ最近、都市鑑賞という言葉を積極的に使い始めてます。 違うけど似ている。似ているけど違う、私たち。タイル、電線、室外機、給水塔、タイポグラフィ、路上園芸、ガソリンスタンド、すべり台、エスカレーター、送水口・・・都市鑑賞趣味をお持ちのみなさま、あらためまして、よろしくお願いします。 ■
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by pictist
| 2017-08-04 04:38
| あれこれ
1年ぶりの再生産です。 日本ピクトさん学会公式「ピクトさんTシャツ」の 受付がスタートしました! ![]() 今回も完全受注生産。 〆切は7月24日23時です。 こちらのページからご注文ください。 http://mon.cifaka.jp/?pid=104011787 一般的なTシャツのサイズより 大きめになっていますので、ご注意ください。 たとえばユニクロTシャツの「S」は、 こちらのサイトによれば身丈64、身幅46.5とのことですが、 これは今回製作するTシャツの【160(XS)】とほぼ同じ大きさです。 (身丈63、身幅46) お手持ちのTシャツのサイズを計り、よく比較してご選択ください。 送料は540円(宅配便の場合)ですが、 mon cifacaでは1万円以上の購入については送料無料としているので、 今回のTシャツだと3枚買えば送料無料になります。 お友達と共同購入して、節約するという手もありますね。 私は今年は「アッシュ」を買おうかなーと思ってます。 ■
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by pictist
| 2017-07-11 13:01
| ピクトさん
滝本晃司ライブ in 岡山 vol.7「100の月」にお越しくださったみなさま、ありがとうございました。 ![]() 今回は滝本さんが長年描き続けてきた直筆イラストカレンダー153ヶ月分を展示。どれでも好きな月の複製を購入することができるという、貴重な機会になりました。 ![]() そして恒例のスライドトーク、これまでに「シュロ」「カエル」「すべり台」と続けてきましたが、今回は「すてきな玄関」をテーマにお送りしました。シュロ、タイル、ガラスブロックが滝本さんの「すてきな玄関3大要素」なのだそうです。3つとも揃っていて、かつ、シュロも3本植えられている家が理想だと。 ![]() トーク中、玄関鑑賞家の滝本さんの口から「整ってる」というキーワードが出ました。ちぐはぐな感じがなく、ドアやタイルなど玄関を構成する要素すべてに美的な統一感がある、というような意味だと思います。 主観的な感覚ですが、だからこそ話していて面白いキーワードでした。「この玄関は滝本さん的にはどのくらいの整いですか」って聞いたり。玄関道、奧が深いです。 ![]() 当日、お客様がお花を贈ってくださいました。ひまわりメインのすてきな花束です。「「夏です」と1回言った」が頭に浮かびました。 僕が見上げていると今度はカノンで ![]() お昼のライブもいいものですね。 ![]() ![]() 左のピアニカが主催者・福本さん、パーカションはレッドさん。去年のライブではベースで参加したレッドさん、今回はお客さんとして見に来てたのに開演の2時間ほど前に滝本さんから「やる?」と言われて急遽パーカッションで参加。すぐ合わせられるところがすごい。右のマンドリンは野村さん。 ![]() 今回フライヤー用に池田美穂さんが描いてくれた絵の、別バージョンを会場に展示しました。2011年の岡山ライブの写真を元に描いたものなんですが、なんと「これ私です!」と絵の中の客席を指差した方が。 ![]() さらに後日、池田さんが今回のライブの様子も描いてくれました。写真撮ってる私も入れてもらえてた。 ![]() 来年もまた岡山に来てもらえることを願ってます。 ![]() 岡山でもしっかり玄関を撮る滝本さん。 【追記】 当日の演奏から一曲、YouTubeにアップしました! 滝本晃司「サーカスの日」 ■
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by pictist
| 2017-06-15 23:38
| イベント
![]() 写真家の広瀬勉さんにお誘いいただきまして、高円寺のバー「鳥渡(ちょっと)」6周年企画展「塀を越えて」に参加させていただきました(2017年5月17日〜31日)。 広瀬さんは美学校・赤瀬川原平教室の卒業生で、「透かしブロック」の写真シリーズで知られています。 残念ながら私は訪問することができなかったのですが、総勢25名の方々が「塀」にまつわる写真を一人一枚展示するという企画でした。昨年、「路上観察レジェンドDay」にご登壇いただいた徳山さんや、元たまの知久さんも参加。私は上掲のペッ景写真を提出しました。 広瀬さん、ありがとうございました。なかなか高円寺を訪れる機会がやって来ないのですが、いつか必ず飲みに行きます。 ■
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by pictist
| 2017-06-02 02:00
| あれこれ
![]() 今年も開催します、滝本晃司ライブ in 岡山。今回は、滝本さんが長年描き続けているイラストカレンダーを会場に展示しますよ。その数なんと150ヶ月分。今回のイベントタイトルを滝本さんのファーストソロアルバムのタイトルに掛けて「100の月」と付けたんですが、ほんとは「150の月」なわけです。 当日はイラストカレンダーのレプリカ販売もおこないます。150ヶ月、どれでも好きな月を選べます。お支払いは当日で、商品は後日、滝本さんからの郵送となります。 そして今回も恒例のスライドトークショー付き。私が聞き手を務めさせていただきます。テーマは「すてきな玄関」。滝本さんが密かに撮り続けている「人んちの玄関」の写真を一緒に鑑賞します。私も撮り溜めている玄関灯の写真を少しお見せしようと思います。 会場は銘木(めいぼく)ビルという3階建てのビルで、岡山市民会館の近くにあります。1階がコーヒースタンド、2Fは美容院(saucer/ソーサー)。ライブ&展示会場は3Fになります(お手洗いは2F)。 滝本晃司ライブ in 岡山 Vol.7 「100の月」 ライブ&スライドトーク&イラストカレンダー展示 日時/2017年6月11日(日) 14:30〜15:30 滝本晃司直筆イラストカレンダー150枚展示※出入自由 15:30〜 受付開始 16:00〜ライブ&スライドトーク 場所/銘木ビル3F(岡山市北区石関町6-10) アクセス/岡山電気軌道(路面電車)東山本線「城下」停留所より徒歩4分 料金/前売3000円、当日3300円(ドリンク代別※500円) ご予約/下記メールまでお名前・人数・電話番号をお伝えください。 sintarou2910@gmail.com (主催・福本のメールです) ※フライヤーでは15:00〜になってますが、変更しました。14:30〜15:30の間はどなたでもご自由にお入りください。15:30になったらいったん1Fに降りていただいて、そこで受付スタート&ドリンクお渡しとなります。 ![]() 岡山城や岡山後楽園のそばなので、ライブ前にゆっくり散策してみてはいかがでしょうか。6月。梅雨です。晴れるといいですが、雨なら雨で、滝本さんの「雨ソング」にしっとり身を浸すことができますね。 【追記】 滝本さんが6月のカレンダーを来場者全員にプレゼントしてくださるそうです! わーい。 あと今回つくった上記画像のフライヤーを人数分残してますので、どうぞ記念にお持ち帰りください。イラストは知人の池田美穂さんが描いてくださいました。 ■
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by pictist
| 2017-05-24 00:36
| イベント
![]() 奉還町4丁目商店街(岡山市)の野上鮮魚店(野上商店)さんが閉業されたとの報せが飛び込んできました。まだ現場は見ていないのですが、近くでゲストハウス「とりいくぐる」を営んでいる知人によると、すでに建物の解体が始まっているそうです。上の写真は昨年(2016年)撮影したもの。 昨年、「岡山芸術交流オルタナティブマップ」という冊子3部作を制作しました。これは、街の中にある様々なものを「作品」として鑑賞してもらおう、というコンセプトでつくった街歩きマップです。 http://pictist.exblog.jp/26762645/ ![]() 私を含めて3名で手分けして作品の推薦・取材をおこなったのですが、私が担当した案件の一つが、野上商店さんでした。掲載した「作品」は、黒い人造石でできた商品陳列台。貝殻の破片が散りばめられているのが粋でした。 ![]() ![]() ![]() 取材をお願いすると、ご主人は快く昔のお話をしてくださいました。お店をやめるというようなことはまったくおっしゃっていなかったのですが、ほんの数ヶ月前のことなので、きっともう心に決めておられたのでしょうね。 半世紀以上続いてきたお店と、名も知れない誰かがつくったこの「作品」を最後に紹介することができてよかったです。有為転変は世の習い。仕方のないこととはいえ、長く続いたお店がなくなるのは、やっぱりちょっと寂しいです。 「岡山芸術交流オルタナティブマップ」に執筆した紹介文を、ここに転載しておきます。野上商店さん、長い間おつかれさまでした。
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by pictist
| 2017-05-04 23:50
| あれこれ
![]() 昭和22年の発売以来、多くの人々に愛されてきた 「ツバメノート」とピクトさんがコラボしました! 2冊1セットで、100セットのみの限定品です。 再生産はしません。 贈り物や永久保存版ノートとしてぜひ。 ご注文はこちらのオンラインストアから。 http://mon.cifaka.jp/?pid=116373719 ![]() オンラインストア以外では、 岡山県立美術館ミュージアムショップでのみ販売しています。 ![]() ツバメノートが使用しているのは 筆記に適した高級紙「フールス紙」。 ツバメノートでは、通常のフールス紙よりも 手間をかけた「特漉き」により、 筆記特性をさらに向上させたオリジナルの 「ツバメ中性紙フールス」を使用しています。 書き味に優れ、特に万年筆との相性は抜群。 ペン先が滑らかに走り、滲まず、裏写りしません。 ![]() ちなみにツバメノートの品番には「W」と「H」があるんですが、 これは創業者・渡邉初三郎のイニシャルなんだそうです。 ■
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by pictist
| 2017-04-23 01:20
| ピクトさん
![]() もう1週間経ってしまいましたが。日本ピクトさん学会presents スライドトークイベントvol.4「都市鑑賞論」にご来場いただいたみなさま、ありがとうございました。東京、大阪、広島、宮城など県外からお越しくださった方もたくさんいてうれしかったです。特に上海から文字通り飛んで来てくれた共通の友人、前川ヤスタカさんに感謝。 ![]() 私はこのイベントのために「都市鑑賞年表」を制作。喜田川守貞の『守貞謾稿』、坪井正五郎の『工商技芸看板考』、国木田独歩の「武蔵野」、萩原朔太郎のステレオ写真、坂口安吾の「日本文化私観」などを紹介し、「ソトの目」というキーワードを用いながら、人が新しい視点を獲得するというのはどういうことなのかを考えてみました。 ![]() 途中で大山さんが持ち出したのは、鑑賞スタンスについての問題提起というか悩みというか、そんな話題。大山さんの大意を私なりの言葉でまとめると以下のようになります(内海が編集/解釈した言葉です)。 《我々は「グッとくる」という言葉を使ってきた。それは「善悪美醜に関係なく魅入られる感じ」を表現するためだ。自分の「工場萌え」の萌えも、「グッとくる」に近く、「価値判断を含まない自分だけの感覚ですよ」ということを表明している言葉。しかしだんだんそれだけでは満足できなくなってきている。「調査によって得られる知識」でもなく、「表面だけを愛でる萌え」でもない、第3の価値観のようなものがあるのではないか》 ![]() 大山さんはこうも言ってます(これも大意です)。 《同じものをずっと撮り続けていると見えてくるものがある。それは本に載っているような知識ではない。10年続けてやっと気づくこともある。今の自分はそれを求めている。これは鑑賞者としての進歩なのかもしれないし、堕落なのかもしれない》 ![]() 進歩か堕落か、どちらかは分かりませんが、ただ一つ言えることは、「10年撮り続けてやっと分かることがある」と言えるのは、実際に10年撮り続けた人だけだ、ということ。大山さんはいくつかのジャンルにおいて、現にそういう体験をしてしまった。上記の第3の価値(私が便宜的につくった言い方ですが)というのはこれを指しているのではないでしょうか。実際、大山さんの著作や記事には、長年見続けてきた人からしか出ないであろう言葉がたしかにあります。 ![]() イベント後半では、大山さんがこれまでに鑑賞してきた様々なジャンルをプレゼンしてもらいましたが、共通して言えるのは「文脈や意味を外して対象を見る」というスタンス。これは冒頭の「ソトの目」にも通じる感覚で、イベントではさらに「宇宙人の目」という言葉も出ました。 大山さんは、ゴルフ練習場を、駅の構内にある生け花を、クリスマス電飾を、まるで地球にやって来た宇宙人のような目で不思議そうに見る。大山さんの写真を見た私たち地球人は、自分が日常を「見たつもりになっていた」「知っているつもりになっていた」ことを思い知らされます。それは写真に限らず、マンション広告のコピーや車のカラーの名前など「言葉もの」についても同じ。大山さんは当たり前の日常の中にあるものを「なんだこれは?」と立ち止まって見つめ、しつこく鑑賞し続けます。文脈や意味から切り離して、対象をとことん見続ける。その先に、やっと発見することのできる何かがある。その新しい価値を表す言葉を、まだ私たちは持っていないのかもしれません。 ![]() いろんなところで何度か書いていますが、私の活動のテーマは「見たことあるのに見えてなかった」。これはもともと、かつて大山さんと一緒にやったスライドトークイベントのフライヤー用につくったキャッチコピーでした。13年前のことです。「見たことあるのに見えてなかった」ものを追い求め、そこに興奮してしまう性格は、私に関しては今も変わっていません。私が大山さんの写真や記事に惹かれるのも、「見たことあるのに見えてなかった」といつも思わせてくれるからです。 ![]() 「都市鑑賞年表」、今回は大正期までの話で終わってしまったので、その後についてもいつかどこかでお話しできればと思っています。例えば70年代から活動を続けている名古屋の野外活動研究会は、あまり広く知られていませんが、都市鑑賞史を語る上で外せない存在だと私は思っています。代表の岡本信也さんはお会いしてみたい方の一人。 ![]() ところで、イベントの前に希望者10数人で一緒に街歩きをしました。これまでにも何度か経験したことですが、他人と一緒に歩くのはいいものだなあとあらためて思いました。一人でゆっくり歩くのも楽しいのですが、誰かと歩いて「目玉の交換」をするのもまた楽しい。 ![]() 同じ道を歩いていても、みんなそれぞれ違う場所で立ち止まって、違う方向にカメラを向けます。「自分たちはみんな違う人間なんだ」ということが目の前ではっきり分かる。ここには一種の断絶があるわけです。でも、街を見るのが楽しいという、その一点でつながって同じ道を歩いてる。私はそれを思うと、なんだかうれしくなるのです。 ■
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by pictist
| 2017-03-12 23:57
| イベント
※追記あり ![]() vol.1「公園にはすべり台を見に来た」 vol.2「『街角図鑑』出版記念イベント」 vol.3「路上観察レジェンドDay」 と開催してきたスライドトークイベントの第4弾が決まりました。 今回のゲストは私と同い年の友人、フォトグラファー&ライターの大山顕さん。『工場萌え』や『団地の見究』などの著書で知られています。 第4弾のタイトルは「都市鑑賞論」。 今回は写真のプレゼンだけでなく、“街を見る”という行為そのものについて2人が考えてきたことを話し合ってみようと思っています。 これまでに大山さんが発表してきた様々な「鑑賞ジャンル」を見せてもらいながら、同時に、大正の考現学から現在のSNSの写真シェア文化にいたる「都市鑑賞ヒストリー」を振り返りつつ、「私たちはなぜ、ある種の『景観』に惹かれてしまうのか」を考えてみたいと思います。 ■ 日本ピクトさん学会presents スライドトークイベントvol.4 「都市鑑賞論」 【出演】 大山顕/フォトグラファー、ライター。著書『工場萌え』『団地の見究』『高架下建築』『ジャンクション』『共食いキャラの本』、他。「デイリーポータルZ」のライターとして10年以上にわたり活躍中。 Twitter: @sohsai 内海慶一/日本ピクトさん学会会長。主に文筆業。著書『ピクトさんの本』『100均フリーダム』 寄稿『街角図鑑』『路上と観察をめぐる表現史ー考現学の現在ー』 Twitter: @pictist 【日時】 2017年3月4日(土) 19:00〜21:00(開場18:30) 【会場】 KAMP(岡山市北区奉還町3-1-35) 【料金】 2500円(1ドリンク付き) 【予約】 下記メールアドレス宛てに、お名前と予約人数、電話番号をお送りください。 picto@mx35.tiki.ne.jp (内海慶一) *3日以内に返信いたします。 ■ 追記:当日15:30〜17:00に街歩きをします。 参加希望の方は15:30までにKAMP前に集合してください。 ルートは厳密に考えてませんが、 二十四ヶ坪地下道 http://pictist.exblog.jp/27019747/ を通って戻ってこようと思ってます。 みんなで一緒に歩くだけです。 会場のKAMPはイベントが始まる1時間くらい前までは 普通にカフェ営業をしています。 早めに会場に着く方は中で食事やお茶をしながら 過ごしていただくこともできます。 また、近くに「ドットカフェ」「オンサヤ」という カフェもあるので(検索してね)どうぞご利用ください。 ツイッターのハッシュタグ #都市鑑賞論 ![]() ■
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by pictist
| 2017-01-30 23:44
| イベント
2012年に岡山で、2014年に東京で一緒にスライドトークイベントをやった前川ヤスタカさんが新著を上梓されました。 『勉強できる子 卑屈化社会』 ![]() 日本では勉強のできる子がなぜか「うしろめたさ」を感じてしまう。なぜかみんな、勉強ができる人をストレートに褒めない。本書はそんな風潮が生み出された背景を考察し、解決策を提言する本です。 タイトルの「社会」という語が示すように、これは一種の日本社会論です。日本人の多くが漠然と思っていることを指摘し、「なぜそう思うようになったのか」を論理的に解析しています。社会心理学の書とも言えますし、また、メディア論・テレビ論にもなっています。 とはいえ、決して堅苦しい本ではありません。著者の体験を踏まえた「あるある話」や、具体的な事例をベースに話が進むので、分かりやすくて読みやすい。あいだに入る能町みね子さんのイラスト漫画もいちいち面白いです(特に165ページの三角関数のやつ、爆笑しました)。 「勉強できる子・できた子」は共感しまくりの内容だと思いますが(現役世代へのアドバイスもあります)、そうじゃない人(私です)にとってもたいへん読み応えのあるものになっています。この社会に満ちている目に見えない「空気」を、本書は実にうまく捕獲しています。 「勉強もスポーツも平等に称えようよ」という、シンプルだけど今まで誰もちゃんと言わなかったことを真正面から唱えた本書。とても意義のある第一歩だと思います。いつか未来の人が『勉強できる子 卑屈化社会』を図書館で見つけて、「昔の日本社会ってこんなだったの!?」って驚いてたら、いいなあ。 『勉強できる子 卑屈化社会』 著者:前川ヤスタカ 出版社:宝島社 価格:1200円(税別) ページ数:246P ISBN:978-4-8002-5943-1 発売日:2016年12月10日 ■
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by pictist
| 2017-01-04 09:32
| レビュー
「三人俳句 よる更けて」、通称「よるふけ」の遊び方を説明します。 これは昔の人が「天狗俳諧」と呼んでいた遊びのTwitter版です。やり方は簡単。俳句の上五・中七・下五の各パートを3人が「せーの」で同時にツイートします。そうすると、思いも寄らない言葉の組み合わせが生まれるわけです。 たとえば、2013年の夏にやったときはこんな句が生まれました。
「史上初 首から下が たまごやき」 こんな言葉が偶然できあがるというのが面白いですよね。それから、この句はどういう意味なんだろう?なにを表現したものなんだろう?とみんなで解釈していくのがまた楽しいんです。 「よる更けて」は鑑賞者がつくる作品です。「作者の意図」なんて存在しません。読む側が意味を付与することによって初めて俳句に血が通う。そして、鑑賞者の数だけ解釈の種類があっていいんです。 自分がうまく解釈できなかった俳句に、他の誰かが見事な解釈を与えるのを見たときは感動します。同じ言葉を見て、思い浮かべることは人によってこんなにも違うのか!とびっくり。 ハッシュタグは#yorufuketeです。 こちらは2013年の「俳句の日スペシャル」の様子。 http://togetter.com/li/550820 まず詠み手をやりたい人は進行役にリプライします。進行役はその中から3名選び、各人がどのパートを受け持つかを割り振ってこういうふうにツイートします。 #yorufukete 入ります。上五 @***** 、中七 @***** 、下五 @***** での「よる更けて」。私の指定する時間にそれぞれの担当をポストしてひとつの俳句をつくります。 続いて「0:32!」というふうに時刻をツイート。詠み手は時報などで正確な秒数を確認しながら、その時刻ジャストで自分のパートをツイートしてください。時刻を指定されてからツイートするまでの数分間、けっこうドキドキしますよ。 詠み手として参加できる人の数はどうしても限られますが、先ほど書いたように、この遊びは鑑賞者が主役です。ぜひ「マイ解釈」をツイートしてみてください。
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by pictist
| 2016-12-31 02:40
| あれこれ
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