内海慶一のブログ
by pictist
カテゴリ
全体
ピクトさん
執筆
イベント
レビュー
あれこれ
ぬかコラム
profile
最新の記事
私たちは「都市鑑賞者」だと思う
at 2017-08-04 04:38
ピクトさんTシャツ2017
at 2017-07-11 13:01
滝本晃司ライブ in 岡山 ..
at 2017-06-15 23:38
鳥渡6周年企画展「塀をこえて」
at 2017-06-02 02:00
滝本晃司ライブ in 岡山 ..
at 2017-05-24 00:36
野上鮮魚店さん、おつかれさま..
at 2017-05-04 23:50
ピクトさんツバメノート
at 2017-04-23 01:20
以前の記事
2017年 08月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
more...
twitter
Webサイト
日本ピクトさん学会
100均フリーダム
装テン souten : japanese awnings
ペッ景 PET bottle scape

【ピクトさんグッズ取扱店】
・広島市現代美術館
・ふくやま美術館
・岡山県立美術館
・喜久屋書店 イオンモール倉敷店
・スタンダードブックストア茶屋町

作成者:内海慶一
Author:UTSUMI Keiichi
picto@mx35.tiki.ne.jp
ライフログ


<   2012年 02月 ( 1 )   > この月の画像一覧
【まち歩き写真あそび】鑑賞レポート

2011年12月に岡山市で開催した「まち歩き写真あそび」の鑑賞レポートです。参加者は8人。それぞれ別々のお題で写真を撮りました。本当は全員分を紹介したいくらいそれぞれ面白かったのですが、ここでは代表例としてスタジオ貝の小野さんが引いたお題「台」を紹介します。

まずは「こちらのページ」でこの遊びのルールをおさらいしてください。

それでは見ていきましょう。小野さんが「台」を撮った写真です。
(残念ながらすべてではありません。半分以上割愛しています)

f0135351_6273813.jpg

屋根が台。そうですね。こういうことですよね。なにかが乗っているものは「台」と認識するだろうと。それはこのお題をつくったときから予想していたことです。

f0135351_6283939.jpg

ベランダが台。植木鉢のための台。このあたりもまだ私の予想の範囲内です。ただ、私たちは今までベランダを「台だなあ」と思って見たことはないですよね。そこがすでに面白いと思います。

それと植木鉢の下になにか白い板のようなものが「噛まして」ありますが、小野さんはこれも台だと思って撮ったそうです。ベランダという台。その上に、また台。ダブルです。

f0135351_6323671.jpg

これは台のためにつくられた台。まっとうな台ですね。

f0135351_6325663.jpg

エアコンの室外機のための台。このあたりは住宅街なので、植木鉢と室外機を多く撮影することになりました。

f0135351_635464.jpg

居酒屋の提灯看板を置くための台。二本の棒の上に乗せられています。これはなにか理由があるんでしょうかね。高さの調節でもなさそうだし。

それにしてもこんなところ普段は見ようとしませんよね。看板の文字や絵は見ても、下に置いてある棒なんて誰も注目しない。そこをじっと見ることになるのがこの遊び。

f0135351_753355.jpg

これもダブル台。道路より一段上がっているコンクリート部分が台で、さらに左から2番目の鉢の下にあるレンガも台。ここだけレンガに乗せてるのはなぜなんだろう。そんなことをみんなであれこれ言い合うのも楽しかったです。「なぜこうなったか」を考えながら見る。

f0135351_761552.jpg

この写真が出てきたときはスライドを見ていたみんながざわめきました。よく道路脇にありますよね。地中電線の変圧器かな。これも台だと小野さんは言うのです。「なにも置いてなくても台なんですか?」って聞いたら「はい、台たりえるものだから台です」と。

台たりえるものは、台・・・いいセリフです。なんというか、ここで次の段階へ行ったな、と思いました。小野さんに「いちばん最初にこれを見ていたら撮影していましたか?」と聞いたら「してなかったと思う」という答え。20枚30枚と撮り続けてきた挙げ句にこれを見たから、これを台だと思ったということです。

f0135351_77239.jpg

さらに衝撃だったのがこれ。この写真が映ったとき、みんな一瞬「?」となったんですが、聞いてみると奥の2台のクルマが停めてある白いコンクリート部分、あのスペースが台だと言うんです。

まわりのアスファルト部と高さの違いはほとんどないですよね。「高さがなくても台です」と小野さん。またいいセリフが出ました。

f0135351_773674.jpg

いろいろ割愛しながら紹介してるので唐突感があるかもしれませんが、たくさん写真を見続けてここまでくると、もう見てる我々も「ああ、まあそうですねえ」っていう感じになるんです。今見ると「ただの石じゃん」って思いますが、流れの中で見てるとなんとなく納得してしまう。

撮影してる本人はもちろん大まじめです。これも台たりえるから台だと。植木鉢の下に置いてあるレンガや石をたくさん見続けてきたために、石単体でも「台」に見えるようになったのでしょう。

f0135351_78952.jpg

これも台だと。このあたりまでくると見てる側も「台ってそもそもなんだっけ?」の暗黒面に堕ちていってます。撮影者本人も意識と無意識の中間みたいなところで撮ってるのでしょう。

f0135351_791618.jpg

これもなぜ一番左だけレンガを入れてないのか、気になりますね。あなたも考えてみてください。これを置いた人の気持ちになって。

f0135351_79368.jpg

自転車の荷台。

f0135351_795816.jpg

植木鉢はけっこう台に乗ってるんだな、ということがだんだん分かってきますね。私は園芸の趣味がないのではっきりとした理由を知らないのですが、地面の熱が直接鉢に伝わらないようにとか、そういう意味があるのでしょうか。でももしそうだとしたら、逆に台に乗せていない鉢があるのはなぜなんでしょう。

f0135351_7102598.jpg

こういうのも実に味わい深いですね。なぜこういう置き方をしたのか、想像しながら見るのが面白い。

f0135351_7104136.jpg

ほら。台に乗せる鉢と乗せない鉢の違いはなんなんだろう。誰か知ってたら教えてください。

f0135351_7413549.jpg

幅と奥行きと高さと、いろんな条件が合致したものが台として使われるわけですよね。そのあたりも考えながら見ると面白いと思います。

f0135351_7422636.jpg

これもダブル。コンクリートの台の上に、黄色いケースの台。ケースの下の空間になにかしまってあるのが見えますね。台にもいろんな智恵が隠されています。

f0135351_744487.jpg

トラックの荷台。

f0135351_7451825.jpg

これは複雑。台が何層にも組み合わさっています。右上の、バケツがバケツの台になっている様子なんかもいいですよね。

・・・しかし冷静に考えるとこれを見て「台が組み合わさっている」と思う人は普通いないわけです。撮影者も、そして後からそれを鑑賞している私たちも、すっかり「台目線」で世界を見ている。

f0135351_746739.jpg

こちらはさらに複雑です。もうなにがどうなってるのか。クリックして大きな写真で見てみてください。台は全部でいくつあるでしょう・・・

f0135351_7465424.jpg

まだまだあります。残りはコメントなしでどうぞ。できれば一枚ずつゆっくり見てください。撮影者の小野さんの気持ちを想像しながら。そして「台」をつくった人の気持ちも想像しながら。

f0135351_74841.jpg

f0135351_7482845.jpg

f0135351_749212.jpg

f0135351_7492594.jpg

f0135351_7494360.jpg

f0135351_751697.jpg

f0135351_7512045.jpg

f0135351_7515539.jpg

f0135351_7524717.jpg

f0135351_7525977.jpg

f0135351_7533339.jpg

f0135351_7534484.jpg

f0135351_754126.jpg

f0135351_7542683.jpg

f0135351_7545129.jpg

f0135351_755389.jpg

f0135351_755501.jpg

f0135351_756144.jpg

f0135351_7561329.jpg

f0135351_7563785.jpg

f0135351_756484.jpg

f0135351_7571224.jpg

いかがでしたか。毎日見ている通勤路も、自宅の近所の景色も、こうして少し見方を変えるだけで新鮮に思えてきます。世界にはいろんな表情があって、それがレイヤーのように幾重にも重なっている。また人それぞれ見ている景色は違うし、自分自身の中でさえも、刻一刻と世界の見え方は変わっているのです。

それを意識して凝視すると、自分の知覚の輪郭に触れられる瞬間がある。それがこの遊びの面白さの核だと私は思っています。

みなさんも機会があればぜひやってみてください。「見たことあるのに、見えてなかった」。そういうものが、世界には(あるいは自分の脳の中には)たくさんあることに気づくはずです。



[PR]
by pictist | 2012-02-20 07:11 | イベント